コスプレ撮影ではただ明るくキレイに撮るだけではなく、作品を表現するためにあえて暗めの雰囲気で撮影する機会も多いです。
屋外やスタジオの白ホリなどの光が回りやすい状態ならうまく撮影できるのに、暗い部屋・雰囲気での撮影は苦手というカメラマンも多くいます。
特に今までイベントがメインの撮影場所だった人は初めてで戸惑ってしまうことも多いようです。
しかし暗い雰囲気の撮影はコツを掴んで上手く撮影できるようになれば、作品の雰囲気をしっかり表現できた一味違った写真が撮れるようになります。
他のカメラマンとも差が付けられるポイントになると言っても良いでしょう。
ここではそんな暗い雰囲気で撮影する時のコツについて解説しましょう。
Contents
暗い雰囲気撮影の大前提!顔は明るく、背景は暗く!
まず暗い雰囲気でのコスプレ撮影する際の前提として覚えておきたいのが、
全てを暗くすれば良いというわけではなく、あくまで顔はわかるよう明るくするのが基本。
という点です。
暗さや雰囲気は全体的な明るさの調整や背景をがっつり暗くすることで表現します。
しかしあくまで被写体となるレイヤーさんの存在は引き立たせる必要があります。
まったく顔がわからないような暗さでは引き立ちません。
つまりは
「写真全体の雰囲気を露出補正で暗くする」+「ライティングで顔は明るくする」
この2つを行うことが暗い雰囲気での撮影を行う基本のポイントとなります。
もちろん写真の表現として、あえて顔も暗くする写真を撮ることもあるかもしれませんが、あくまでこのポイントを念頭に置いて撮影すると失敗しません。
露出(明るさ)の調整と顔を明るくする工夫!

暗い雰囲気で撮る時は、露出をアンダー(0.0より下)に設定し被写体をライティング無しで撮ると、真っ暗に映るぐらいまで設定します。
- A(絞り優先オート)ではダイヤル等でそのまま露出値を設定
- M(マニュアル)ではシャッタースピードを早くするorISOを低くする。
この2つの設定で露出をアンダー状態にできます。
その上で手持ちのライティング機材を使い、顔や衣装などの全身を含む範囲をある程度まで明るく映せるように設置、調整を行います。
このあたりの写真の全体の露出調整と明るく映る範囲の調整は「どんな写真を撮りたいか」のイメージを明確にする必要があります。何枚が撮影してみて、レイヤーさんと相談しながら決めていくと良いでしょう。
限られた範囲を明るく映すにはソフトボックスが便利!
顔を含む限られた範囲を明るく映すには、ソフトボックスを使用すると良いでしょう。
スタジオなどにあるソフトボックス+定常光のものでも良いですし、自分が持っているストロボを中にセットしたものでも構いません。
アンブレラでは撮影ブース全体に光が広がってしまうので、暗めの撮影には向いていません。
ソフトボックス内で光が分散され、ソフトボックスの光が届く範囲内のみ明るくできるので、写真全体が明るくなることがなく、限られた範囲のみを明るく照らすことができます。
この時、被写体の顔になるべく近い位置にソフトボックスを置くと、より光が広がりすぎずに柔らかい光(=自然な映りとなる光)になります。
またより限られた範囲に光を集めたい時は、グリッドと呼ばれるソフトボックスの付属パーツを利用すると良いでしょう。
ワンポイントテクニック!写真の色味を変える。

ここからはより暗い雰囲気を足すためのワンポイントテクニックです。
誰でも簡単にできて、しかも雰囲気を加えるのに抜群の効果を発揮します。
一番おすすめしたいのはカメラのホワイトバランス、彩度の調整です。
- ホワイトバランスに青みを加える
- 彩度を落とし、色彩を抑える。
- 作品によってはモノクロに変えてしまう。
この3つの色味調整を織り交ぜながら撮影をすると、より暗い雰囲気で撮影できます。
- 青みを加えると全体的に冷たく、引き締まった雰囲気を表現できます。
- 彩度を落とすと非日常感の演出に繋がります。
- モノクロはクールで引き締まった印象を与えます。
ここで重要なのは、その設定した色味が作品に合っているかどうかです。
自分がよく知っている作品なら良いですが、もし不安な場合は何枚か撮影した後に、レイヤーさんの意見を聞きながら写真の色合いを変えて撮影してみると良いでしょう。
また色味はJPEG+RawでRawデータを残しておけば、現像の際に後から色合いの調整が可能なので、両方残しておくと良いでしょう。
屋外の暗い雰囲気はストロボを使った日中シンクロ!

ここまではどちらかいうと屋内をイメージして解説してきました。
屋外の曇り空や暗めの空を利用したい場合は日中シンクロを利用した撮影方法を使います。
日中シンクロは背景が際立つ露出に設定し、ストロボで被写体を明るくする撮影方法のことです。日中シンクロを行えば、背景と被写体の明るさを自在に設定できるようになるので、背景を夜のように暗くすることも可能です。
これで空の曇りや暗さを損なわずに、写真に残すことができます。
また露出などをより暗くすることで実際の空模様よりももっと暗く、印象的な色合いにすることも可能です。
ストロボを購入したらぜひ試してみてくださいね。
暗い場所の撮影はブレに注意!
暗い雰囲気で撮影する際の注意点としては、どうしても暗い場所での撮影となりやすいのでシャッタースピードやISOを普段通りにしていると写真がブレやすい点です。
シャッタースピードはなるべく早く、またISOは写真の画質を損なわないことを考慮しながらも数値を高めにする必要があります。
写真がブレない構え方なども参考にしながら、普段の明るい場所での撮影よりも注意して撮影をする必要があります。
編集でもう一味加えることだって可能!
暗めの雰囲気を作って撮影したつもりでも、実際の出来上がりを見るとちょっと物足りないこともあるでしょう。
そんな時にはLightroomやPhotoshopなどの編集・現像ソフトを使って暗めの雰囲気をより強調することができます。
おすすめの機能としては
- 露出の調整…写真全体の明るさを調整できる。
- 彩度の調整…写真全体の彩度を調節できる。
- 周辺光量調整…写真の四隅の部分のみを暗くできる機能。
- 黒レベルの強化…写真の中でも影になっている黒色の部分の強さを上げる。
これらの機能を調整しながら、後からでもある程度のイメージ通りの写真に仕上げることも可能です。
例えその場で完璧に作り上げなくても、後から多少救済措置的に調整できることを覚えておくと実際の撮影の際も気持ちが楽になりますよ。
まとめ!暗い雰囲気の撮影はイメージを明確に!

今回はコスプレ撮影で求められることも多い、暗い雰囲気の写真の撮影のコツについてでした。内容をまとめてみると以下の点がポイントとなります。
- 基本的には顔はわかるように明るく、背景や全体の色合いを暗めに表現する。
- 機材のライティングを使って、顔を明るく映す工夫が必要となる。
- 写真の色味や彩度を変えることで、より暗い雰囲気の写真に仕上がる。
そして最後に一番重要なのは、やはり自分とレイヤーさんのお互いのイメージをしっかり合わせることです。
ただキレイに撮れれば良い構図と違い、雰囲気を演出する撮影は様々な表現方法があります。しっかりとイメージを聞き取った上で撮影しないと「なんか違う…」ということになりかねません。
途中で写真を見せながら、相手の反応を見つつ、撮影を進めていくことが重要になります。

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